呼名 (遠雷(いただきもの)/
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波の音が、聞こえる。
静寂に奥行きを与えた、ワンポイントのよう、に。
ただ穏やか、に。
それだけ、な──────筈なの、に……
「…ふ…っ ぁ……」
……なんだ?
「あぁ…… っ …」
一体、僕は。
何を、しているんだ?
頭に靄がかかったような、気分だった。
自分が今、何をしていたのか、全然、分からなくて。
だけど。
チラリと聞こえてきた。
否。
目の前で、溢れてきた──────ひどく甘い、吐息、に。
意識が、ますます流されていくような、気がした。
「ね、ぇ……っ」
僕の手は。
指は。
舌は。
「そん、な…にっ…… ぁ …」
何を、している?
─────────誰、を……抱いてる…?
ゆるりと、浮上してきた意識とは裏腹に。
僕は、忙しなく『その女(ひと)』の身体をまさぐっていた。
何時も響いてくる、波の音にかき消されながらも。
酷く妖艶な吐息は、やけに大きく、脳裏に響いてくる。
華奢な身体を──────撫で上げて、虐めて、焦らして。
───────何を、して、いる?
───────僕は…何をしているんだ?
そして。
───────『誰』を…抱いているんだ………?
分からない──────分から、ない。
だけど、その疑問と矛盾して。
僕は。
凄まじい勢いで、『その女』を、突き上げて、いる。
「ぃや、ぁ…っ! ……っ」
……誰?
「壊、れっ……る…っ」
……君は、誰?
見えない、分からない。
霞のような吐息の正体、を。
妖艶な、響きを。
僕に、見せてくれ───────
ぎりり、と……細い爪が、僕の背に食い込んだ。
痛みは、感じない。
傷さえも、つかない。
君は。
「もう、だ、め……っ」
誰、なんだ……?!
「………ピュン、マ」
細い──────消え入りそうな呼び声が、耳元に響き。
僕は、目を見開いた。
吐息だけでは、分からなかった。
華奢な身体を見ても、分からなかった。
だけど、今。
ハッキリと、その『声』に、違和感を感じたんだ。
いや、正確には『声』では、なく。
貴女が囁いた、その『呼び名』、に───────
貴女の一言に、霧が晴れていくようだった。
視界が、一気に鮮明になった。
そう……貴女は決して。
僕のことを、『名前』で呼んだりは、しなかった、から────────
絶頂を通り越して、緩やかになっていく、吐息。
細い、肩。
細い、腰。
抱きしめた腕に力を込めると。
更に身体が、密着度を、増した。
擦れ合うように、近づく、顔と顔。
快楽に濡れた、瞳が。
その。
鈍色の瞳、が。
僕を見て、綺麗に…微笑んだ。
───────────── 周 ………
「呼んだ?」
突然、飛び込んできた声。
思わず僕は、ビクリと身体を震わせた。
「……あ、れ?」
「だから、私を呼んだ? 8番目」
「……………え…?」
不思議そうに覗き込んでくる、鈍色の瞳。その手には、たくさんの洗濯物を入れたカゴ。
訳が分からなくて周りを見渡してみれば……見知った風景。
そう、リビング、だ。
足下には、手から滑り落ちたであろう読みかけの本が、ある。
そして、身体には…いつの間にか柔らかい毛布が掛けられていた。
「僕…」
「なぁに? 寝言?」
混乱しきった表情をしていると、鈍色の瞳……周は、呆れたように微笑した。
そうか、僕……
うたた寝してたのか……
じゃ、さっきのは────────夢……?
一瞬で、顔が紅くなった。
そんな僕の様子に、周は怪訝な顔をしたが。
淡々と、そしておもむろに洗濯物をたたみ始め、そしてすぐに「手伝え」というような視線を投げかけてきた。
殺気にも似たそれを受け止め、夢の中でとは違う意味で身体が震えた僕は、いそいそと周の側に駆け寄る。
散々「たたみ方が違う」だの、「そんなふうにしたらシワになる」だの……注文を付けられたが。
そんな言葉、は。
何一つ、耳に残らなかった。
なぜなら。
貴女の優美な仕草や、綺麗な指や顔に釘付けになってしまった、から。
あの吐息。
あの貌。
あの肢体。
なぜ僕は──────────あんな夢を見たのだろう、か……
「───────周」
身体が、アツイ。
「ねぇ、周」
身体の奥底も、アツイ。
「先に…」
意志と反して。
「謝っておく、よ」
何故か貴女に伸びて行く、指先。
確かめずには、いられない。
夢と現実が、きっと同じである、と。
貴女の手、も。
貴女の身体、も。
貴女の吐息、も。
全て非現実(ゆめ)の世界で見たままだ、と──────
そして僕を呼んで、欲しい。
あの濡れた声で、今一度。
そう、今一度…
一度だけで、いい、から───────────
<了>
凛樹館のjuiさまに無理やり書いて頂きました。
ありがとうございます。juiさま!!!(感涙)
ノーマルに15禁な彼を読みたい!という管理人の 我侭にjui様だけでなく、周様まで応援してくださって・・・(涙)
ピュンマが艶っぽい感じでドキドキしました。やっぱり彼は 格好いいのですっ!!っていうか今までノーマルな彼が無かったのが不思議なくらいで・・・。
きっとこの先は・・・いえ、想像するのは野暮というもの。 お2人の成り行きにお任せするとして・・・。だた、ますますピュンマが周を 恐れない事態に発展しないことを願って止みません・・・いや多分無理なんですけどね(肩落とし)。
なんでもjuiさま、これからは周総受けでいくとかいかないとか・・・(小躍り)
凛樹館から目が離せないですねっ!!
juiさま、本当にありがとうございました。
juiさまに無理やり書いて頂きました。8と周先生の15禁!!
juiさま夢をかなえてくださってありがとうございました!
juiさま夢をかなえてくださってありがとうございました!
波の音が、聞こえる。
静寂に奥行きを与えた、ワンポイントのよう、に。
ただ穏やか、に。
それだけ、な──────筈なの、に……
「…ふ…っ ぁ……」
……なんだ?
「あぁ…… っ …」
一体、僕は。
何を、しているんだ?
頭に靄がかかったような、気分だった。
自分が今、何をしていたのか、全然、分からなくて。
だけど。
チラリと聞こえてきた。
否。
目の前で、溢れてきた──────ひどく甘い、吐息、に。
意識が、ますます流されていくような、気がした。
「ね、ぇ……っ」
僕の手は。
指は。
舌は。
「そん、な…にっ…… ぁ …」
何を、している?
─────────誰、を……抱いてる…?
ゆるりと、浮上してきた意識とは裏腹に。
僕は、忙しなく『その女(ひと)』の身体をまさぐっていた。
何時も響いてくる、波の音にかき消されながらも。
酷く妖艶な吐息は、やけに大きく、脳裏に響いてくる。
華奢な身体を──────撫で上げて、虐めて、焦らして。
───────何を、して、いる?
───────僕は…何をしているんだ?
そして。
───────『誰』を…抱いているんだ………?
分からない──────分から、ない。
だけど、その疑問と矛盾して。
僕は。
凄まじい勢いで、『その女』を、突き上げて、いる。
「ぃや、ぁ…っ! ……っ」
……誰?
「壊、れっ……る…っ」
……君は、誰?
見えない、分からない。
霞のような吐息の正体、を。
妖艶な、響きを。
僕に、見せてくれ───────
ぎりり、と……細い爪が、僕の背に食い込んだ。
痛みは、感じない。
傷さえも、つかない。
君は。
「もう、だ、め……っ」
誰、なんだ……?!
「………ピュン、マ」
細い──────消え入りそうな呼び声が、耳元に響き。
僕は、目を見開いた。
吐息だけでは、分からなかった。
華奢な身体を見ても、分からなかった。
だけど、今。
ハッキリと、その『声』に、違和感を感じたんだ。
いや、正確には『声』では、なく。
貴女が囁いた、その『呼び名』、に───────
貴女の一言に、霧が晴れていくようだった。
視界が、一気に鮮明になった。
そう……貴女は決して。
僕のことを、『名前』で呼んだりは、しなかった、から────────
絶頂を通り越して、緩やかになっていく、吐息。
細い、肩。
細い、腰。
抱きしめた腕に力を込めると。
更に身体が、密着度を、増した。
擦れ合うように、近づく、顔と顔。
快楽に濡れた、瞳が。
その。
鈍色の瞳、が。
僕を見て、綺麗に…微笑んだ。
───────────── 周 ………
「呼んだ?」
突然、飛び込んできた声。
思わず僕は、ビクリと身体を震わせた。
「……あ、れ?」
「だから、私を呼んだ? 8番目」
「……………え…?」
不思議そうに覗き込んでくる、鈍色の瞳。その手には、たくさんの洗濯物を入れたカゴ。
訳が分からなくて周りを見渡してみれば……見知った風景。
そう、リビング、だ。
足下には、手から滑り落ちたであろう読みかけの本が、ある。
そして、身体には…いつの間にか柔らかい毛布が掛けられていた。
「僕…」
「なぁに? 寝言?」
混乱しきった表情をしていると、鈍色の瞳……周は、呆れたように微笑した。
そうか、僕……
うたた寝してたのか……
じゃ、さっきのは────────夢……?
一瞬で、顔が紅くなった。
そんな僕の様子に、周は怪訝な顔をしたが。
淡々と、そしておもむろに洗濯物をたたみ始め、そしてすぐに「手伝え」というような視線を投げかけてきた。
殺気にも似たそれを受け止め、夢の中でとは違う意味で身体が震えた僕は、いそいそと周の側に駆け寄る。
散々「たたみ方が違う」だの、「そんなふうにしたらシワになる」だの……注文を付けられたが。
そんな言葉、は。
何一つ、耳に残らなかった。
なぜなら。
貴女の優美な仕草や、綺麗な指や顔に釘付けになってしまった、から。
あの吐息。
あの貌。
あの肢体。
なぜ僕は──────────あんな夢を見たのだろう、か……
「───────周」
身体が、アツイ。
「ねぇ、周」
身体の奥底も、アツイ。
「先に…」
意志と反して。
「謝っておく、よ」
何故か貴女に伸びて行く、指先。
確かめずには、いられない。
夢と現実が、きっと同じである、と。
貴女の手、も。
貴女の身体、も。
貴女の吐息、も。
全て非現実(ゆめ)の世界で見たままだ、と──────
そして僕を呼んで、欲しい。
あの濡れた声で、今一度。
そう、今一度…
一度だけで、いい、から───────────
<了>
凛樹館のjuiさまに無理やり書いて頂きました。
ありがとうございます。juiさま!!!(感涙)
ノーマルに15禁な彼を読みたい!という管理人の 我侭にjui様だけでなく、周様まで応援してくださって・・・(涙)
ピュンマが艶っぽい感じでドキドキしました。やっぱり彼は 格好いいのですっ!!っていうか今までノーマルな彼が無かったのが不思議なくらいで・・・。
きっとこの先は・・・いえ、想像するのは野暮というもの。 お2人の成り行きにお任せするとして・・・。だた、ますますピュンマが周を 恐れない事態に発展しないことを願って止みません・・・いや多分無理なんですけどね(肩落とし)。
なんでもjuiさま、これからは周総受けでいくとかいかないとか・・・(小躍り)
凛樹館から目が離せないですねっ!!
juiさま、本当にありがとうございました。
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