どんなことにも理由(わけ)がある ~それでも残された疑問~ 後編 (お笑い/
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「じゃあ、ジェットって昔から鼻が長かったんじゃないの?」
コズミ邸の縁側でジョーが素っ頓狂な声を上げた
「ああ。これは改造の結果。しかも途中でこうなったわけ」
「知らなかったな、俺達が合流したときには鼻が長かったものな」
フランソワーズとアルベルトも顔を見合わせる。
「どうして、長くなったの?」
「においがわからなかったんだそうだ」
「あれっ、ジェットの鼻ってそんなに高性能だったっけ?」
「いや、お前らと同じだよ」
「じゃあ、なんで俺達は長くならなかったんだ?」
「なんでもよ、分離管ってのがイマイチだったんだよ、俺の場合」
「そう言えば聞いたことあるわ。私の改造の直前に画期的な分離管が完成したって・・・ ブラックゴーストの担当者に『よかったな』って言われたもの。 あの時はそんなこといちいち気にしていられなかったけど・・・・・こういう意味だったのね」
フランソワーズはジェットの鼻を2、3度撫で、小声で「良かった・・・」と安堵の溜息を漏らした。
「じゃあさ・・・ジェットも僕たちと同じ分離管にしてもらえば、改造前の長さにもどせるんじゃない?」
「冗談じゃねえ、こんな男前の顔にどうして再改造がいるんだ?」
「「「・・・・・・」」」
3人は言葉を失った。
「おっ♪」
台所から漂ってくるカレーの香りにジェットの声が弾む。
「今日の昼飯はカレーか・・・しかもエビ・・・エビのにおいがするぜ。んじゃ、先に戻ってるぜ」
彼は自慢の鼻を2、3度ひくつかせ、リビングへと消えていった。
「奴は食い物のことになると妙に鼻が利くな」
アルベルトが彼の後姿を見送る。
「においといえば食べ物のことにしか興味示さなかったから・・・ 補助脳のデータも食べ物一色なのよ。絶対に。」
呆れ声のフランソワーズ。
縁側には暖かい日差しが惜しみなく降り注ぐ。遠くでは波の音が穏やかに響く。
「あのさぁ・・・・」
ジョーが2人の顔を見る。口元を少しだけほころばせ、茶色の瞳がクルリと動いた。
「なあに?」「なんだ?」
「それで・・・ギルモア博士の鼻は・・・・・自前?」
(fin)
<Prev.
あとがき
まさかここまでくどい話になるとは夢にも思いませんでした。読みにくかったことと思います。 読んで頂いてありがとうございました。
さて、この話を書くきっかけになったのは平ゼロ38話 「黒い幽霊団」のワンシーンです。
D6(後の002)のテストシーン、その中にD6の図面(というか概略図)が出てきたの覚えていらっしゃるでしょうか? あの図面に出てくる鼻・・・短いんです! 改造後の鼻に比べると約4分の1か・・・。 しかも、鼻の付け根には「AIR SMELL SENSOR」の文字が、これはもう書くしかないと 勢いで書き上げました。
分離管うんぬんのくだりはガスを分析する装置がありまして、それをイメージして書いたんですが、 わかりにくくてすみません。
ちなみに、マーシャル・ゴーレイ氏のお名前は、この分析装置の発展に多大な 功績を残した技術者(分離管(カラム)の発展に寄与した技術者。彼の名を冠する賞もあります)のお名前を拝借しました。
当然、ご本人とは何ら関係の無いことを申し添えておきます。
「じゃあ、ジェットって昔から鼻が長かったんじゃないの?」
コズミ邸の縁側でジョーが素っ頓狂な声を上げた
「ああ。これは改造の結果。しかも途中でこうなったわけ」
「知らなかったな、俺達が合流したときには鼻が長かったものな」
フランソワーズとアルベルトも顔を見合わせる。
「どうして、長くなったの?」
「においがわからなかったんだそうだ」
「あれっ、ジェットの鼻ってそんなに高性能だったっけ?」
「いや、お前らと同じだよ」
「じゃあ、なんで俺達は長くならなかったんだ?」
「なんでもよ、分離管ってのがイマイチだったんだよ、俺の場合」
「そう言えば聞いたことあるわ。私の改造の直前に画期的な分離管が完成したって・・・ ブラックゴーストの担当者に『よかったな』って言われたもの。 あの時はそんなこといちいち気にしていられなかったけど・・・・・こういう意味だったのね」
フランソワーズはジェットの鼻を2、3度撫で、小声で「良かった・・・」と安堵の溜息を漏らした。
「じゃあさ・・・ジェットも僕たちと同じ分離管にしてもらえば、改造前の長さにもどせるんじゃない?」
「冗談じゃねえ、こんな男前の顔にどうして再改造がいるんだ?」
「「「・・・・・・」」」
3人は言葉を失った。
「おっ♪」
台所から漂ってくるカレーの香りにジェットの声が弾む。
「今日の昼飯はカレーか・・・しかもエビ・・・エビのにおいがするぜ。んじゃ、先に戻ってるぜ」
彼は自慢の鼻を2、3度ひくつかせ、リビングへと消えていった。
「奴は食い物のことになると妙に鼻が利くな」
アルベルトが彼の後姿を見送る。
「においといえば食べ物のことにしか興味示さなかったから・・・ 補助脳のデータも食べ物一色なのよ。絶対に。」
呆れ声のフランソワーズ。
縁側には暖かい日差しが惜しみなく降り注ぐ。遠くでは波の音が穏やかに響く。
「あのさぁ・・・・」
ジョーが2人の顔を見る。口元を少しだけほころばせ、茶色の瞳がクルリと動いた。
「なあに?」「なんだ?」
「それで・・・ギルモア博士の鼻は・・・・・自前?」
(fin)
<Prev.
あとがき
まさかここまでくどい話になるとは夢にも思いませんでした。読みにくかったことと思います。 読んで頂いてありがとうございました。
さて、この話を書くきっかけになったのは平ゼロ38話 「黒い幽霊団」のワンシーンです。
D6(後の002)のテストシーン、その中にD6の図面(というか概略図)が出てきたの覚えていらっしゃるでしょうか? あの図面に出てくる鼻・・・短いんです! 改造後の鼻に比べると約4分の1か・・・。 しかも、鼻の付け根には「AIR SMELL SENSOR」の文字が、これはもう書くしかないと 勢いで書き上げました。
分離管うんぬんのくだりはガスを分析する装置がありまして、それをイメージして書いたんですが、 わかりにくくてすみません。
ちなみに、マーシャル・ゴーレイ氏のお名前は、この分析装置の発展に多大な 功績を残した技術者(分離管(カラム)の発展に寄与した技術者。彼の名を冠する賞もあります)のお名前を拝借しました。
当然、ご本人とは何ら関係の無いことを申し添えておきます。
(04年2月22日 初出)
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