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約束  (ピュン誕Comments(0) )

昨年のピュン誕でボツにした話を漁ってたら、使えそうなのが出てきたので加筆修正して晒します。ボツにしただけあって、なんだかしまりの無い話 orz
原作ベースの話ですが、キャラは平成版。野生生物管理大学を卒業した後の話。オリキャラが登場します。

たまにはこんな日常話もいいかと。



「僕が教壇に?」
「おねがいしますよ、ピュンマ先輩」

「先輩」と僕を呼んだ相手は邪気の無い笑顔を見せた。コイツに笑顔を向けられて断れた試しが無い。白い歯がやけにまぶしい。

「だって僕はそんなことしたことないし・・・教師ってさ、資格だって居るんじゃないのか」
「い・い・ん・で・す・よ、そ・ん・な・こ・と! それよりピュンマ先輩のように世界中を飛び回ってる人の話は面白いし、子供たちだって聞きたがってます!」
「君がちゃんと勉強を教えればいいことだろう?」
依頼主はそんなことは当然ですと声を張り上げ、さらに続けた。
「子供たちに視野を広げさせたいんです!生きた情報は知識の栄養になるんです!!!」

負けた、やっぱり敵わない・・・。僕は天を仰いだ。




僕は今、とあるNGO団体に参加して、アフリカに学校給食を広める仕事をしている。
給食を支給すれば子供達が学校に集まる。普段から栄養不足な子供達に必要な措置なのは勿論のこと、それ以上に就学率の向上が狙いである。これからのアフリカを担う子供達はもっと多くを学ばなくてはいけない。

そんなある日、訪れた町外れの学校に見知った顔がいた。
「「あれっ?」」
互いに互いを見、次の瞬間にはがっしりと握手をしていた。
「懐かしいな、ルムンバじゃないか」
「ピュンマ先輩も元気そうで」
懐かしさでついつい話し込み、互いの仕事の話の流れで冒頭の事態に至ったというわけ。

「ここにはテレビもないし、本だって満足には用意できない。生きた知識が圧倒的に不足しているのは、現場の大きな悩みで、世界の広さ、大きさを知る機会があったら、それは子供たちへの刺激になるに違いないんです」

ルムンバは熱く熱く語り、僕に教壇に立って欲しいと言い出したのだ。
「こちらもいろいろ忙しいし、突然ここを離れる事態もあるわけだから・・・」と断り続けていたが、結局彼の熱意に根負けし子供達の前に引きずり出された。
週に1回3ヶ月、「ピュンマ先生のお話会」と名づけられたその日は、普段休みがちな子供も含めて全員が集まり、どの子もどの子も黒い瞳をキラキラ輝かせて、僕の話を食い入るように聞いてくれた。






「ピュンマセンセーーー」

授業が終わると、アレリアが僕の胸に飛び込んできた。つい最近8歳の誕生日を迎えたと聞いたが、抱きとめた身体は就学前の子供のようにか細く小さい。
「ね、先生、これあげる!」
身体に似合わず、鼓膜が破れるかと思うほどの声を張り上げ、小さなリングを僕の手に乗せた。空き缶のプルトップに、キラキラ光る包装用の紐をくるりと巻き、紐にはこの辺の子供が持つには贅沢と思えるビーズが付いていて・・・。彼女が作った精一杯のアクセサリー。
「うわぁ、綺麗だね。 アレリアが作ったのかい?」
僕の問いかけに、「そうっ」と誇らしげな答えが返る。
「で、どうして、僕にこれを?」
「先生、今日がお誕生日だって、ルムンバ先生に聞いたから・・・」
言いながらアレリアは下を向いてしまった。表情は伺えないが、耳は真っ赤だ。
「あのね、これね、いとこのお姉ちゃんからもらった綺麗なビーズを取っといたんだけど・・・指輪にしたの・・・。だから、先生にあげるっ!」
「いいのかい?とてもとても大事なものなんじゃないのかい?」
心配する僕に、アレリアは真っ赤な顔を向けて、僕の耳に口を寄せる。
「アタシとおそろいなの、だから・・・・」


彼女が耳打ちした言葉に、僕はニコリと微笑んで、約束だよと言った。






「どうしたの、ピュンマ、ずいぶんニコニコしちゃって」


ギルモア邸のリビングで声をかけてきたのはフランソワーズだった。
「やっぱフランも変に思うだろ? コイツさっきから怪しいんだ。箱の中を見ては、薄ら笑いを浮かべて・・・キモッ」
ジェットが大げさに身震いする。
「いや・・・別になんでもないよ」
カバンの中に仕舞おうとした箱がジェットに奪われた。
「オイ、ジェット、見ても楽しいもんじゃないし、返してくれよ」
「いやいや、ピュンマにそんな顔をさせてるんだ・・・、きっと女からのプレゼンントだろ?」
ジェットが嬉々として箱を開けると、拍子抜けした声が響いた。
「なんだよ、これ」
「君が言う通り、送り主は女性さ・・・だけど、彼女まだ、8歳さ」
「はぁ?」
「僕の教えた生徒でね、アレリアって女の子」


―― あのね、大人になったら、アタシをお嫁さんにしてね ――


指輪をくれたあの時、彼女が耳元で囁いた言葉と表情があまりにも愛らしくて、再び笑みが漏れた。
「僕の誕生日にアレリアがくれたんだよ。しかもペアリングさ」
「あらあら、ピュンマ先生にそんな顔させる女の子なんて、見てみたいわね」
「さぞかし可愛いんでしょうねーー」と冷やかすフランソワーズの言葉に、僕は「当然だろう?」と返した。







ルムンバは当初ブバカルにする予定だったんですが、ブバカルは公園管理官なので学校の先生にするには無理があるとオリキャラにしてみました。 ルムンバはコンゴ民主共和国の政治家だそうです(付け焼刃知識)

ピュンマったらそんな約束しちゃって大丈夫なんですかね・・・この女泣かせが!(<それは9の専売特許)


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