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遠いアポ(fromスピキオさま)  (いただきものComments(0) )

スキピオさまのサイト「Sweet Bloom」様(現 剣持碧様サイト名『華サク季節』)でキリバンを踏んでいただいたお話。 このサイトでは絶対に見ることの出来ない93です!! そして、当然あの方も登場します!(無理やり書いてもらいました)




着物や浴衣は日本特有の衣類と思っていたので、外人に果たして似合うのか?という疑問は愚問だって事に気が付いた。
着付けをしてもらって恥かしそうに出てきたフランソワーズはそれはもう絵から飛び出てきたような美しさだった。










数日前に街の企画で縁日があるというポスターを見て、日本らしい夏を味わってみない?と彼女を誘ってOKが取れ、それじゃあまずは形から!と思い二人で浴衣を買いに来たのがついこの間。



そして縁日の当日の今日、コズミ博士の知り合いの女性に浴衣を着せてもらい、いざ縁日を目指すところまできていた。






一緒に浴衣を買いに行ったんだけど、フランソワーズが選んだのは・・淡い色の生地に青と紫の朝顔の絵が描かれた物。帯は濃い目の藍色だった。髪も一つに結い上げて、細い首元がより一層の美しさを引き立てる。右手に赤い巾着、左手に浴衣の柄と同じ模様のうちわを持って、もうどこから見ても非の打ち所が無い!!







僕はといえば、モスグリーンの生地に紺の帯をつけ、涼しそうな下駄を履く。
二人で日本の夏を楽しもうと洋服の準備は整った。
















フランソワーズをまじまじと見て思ったんだけど・・



・・・・・・・・・こんな人と一緒に歩いて別の意味で僕は襲われたりしないかな・・?




















「それじゃあ行ってきます」
「ゆっくりと楽しんできなさい」
博士に見送られ僕たちはまずは車で街を目指した。















街の広場に近づくと太鼓の音や明るい笑い声が聞こえてきた。フト、フランソワーズを見たら慣れない下駄に悪戦苦闘している様子だった。
「大丈夫?」
「えぇ、大丈夫よ。それよりも沢山の人が来ているのね」
「そうだね、まぁお祭りだからね」
「これは何を祝うためのお祭りなの?」
「えっ・・・?」
「だってお祭りなら何かをお祝いしているんでしょう?」
「そ・・それは・・」
フランソワーズの質問に僕は何と答えてよいのか分からず困っていたら急にフランソワーズが走り出した。
「フランソワーズ?」
「うわぁ、色々なお店があって楽しいそう!ジョーも早く、早く!」
立ち並ぶ屋台が珍しいのか目をキラキラさせながらフランソワーズは周囲をキョロキョロと見ている、僕はそんな彼女の姿を見ながら知らず知らずに笑っていた。
















お好み焼きに焼きそば、アンズ飴にソースせんべい。ありとあらゆる屋台が軒を並べて大きな声で客寄せをしている。何もかもが珍しいのかフランソワーズは知らず知らず僕の握っている手に力が入っている、まぁ・・はぐれないからこれでいいんだけど。



「あれは何?」
フランソワーズが僕に訊いてきたのは綿菓子屋だった。
「あれは綿菓子といって砂糖で作っている甘いお菓子だよ」
「そうなの?ねぇ、あれ食べましょうよ」
「うん、そうだね」
僕が綿菓子を買っている間、彼女は機械から出てくる真っ白い綿を不思議そうに眺めていた。



「はい」
さっきの店で買った綿菓子を渡すと、フランソワーズは手で小さくちぎって食べ始めた。
「甘い!本当にこれお砂糖だけで作ってるのね」
「うん・・そうだと思うけど、余り詳しくないから・・・」
「まるで雲を食べているみたいね、フフフ実際の雲もこんなに甘いのかしら?」
「それは無いだろうね、だって雲に味があるなら・・例えば君の言う通り甘いのであれば雨だって甘い味がするんじゃないかな?」
僕がこう言ったらフランソワーズは2・3度首を横に振った。
「ジョー・・、そんな夢の無い様な話はしないでよ。せっかくのお祭り気分が台無しじゃない!」
「あ・・、ごめん」
フランソワーズは僕の詫びを聞いているのかどうかも分からず、次はどこに行こうか?と辺りをまた見回し始めていた。












こんな姿、珍しいよな・・・・・・・・。















「ねぇ、ジョー。こっち、こっち!」
少し離れた場所でフランソワーズは僕にこっちへ来い!と言わんばかりに大きく手を振っている。
まぁ、離れるとはぐれる可能性があるから僕は彼女の元へと歩き出した。











そして次のフランソワーズの出店のターゲットは<金魚すくい>だった。












「姉ちゃん、どうだい?1回100円だからやってみないかい?」
店番の兄さんがフランソワーズに話し掛けていた。
僕は内心こんなものに彼女は興味がないだろう・・・、と思った。



が、それは僕の大きな勘違いだったらしい・・・・・・・・・。
行こうか?と声をかけようと思い、フランソワーズの手を引こうと自分の手を出したら彼女の左手に銀色の器、右手には金魚をすくうグッツが握られていた
「・・・・・・・・・」
僕は思わずかける言葉を失った。まさかこういうのに興味を示すとは・・・。









それから10分ぐらい、いやそれ以上彼女は金魚をすくうため何度も何度もチャレンジしていた。<外国人が金魚すくいをしている!?>という話題が広まったのか、その出店には沢山の人だかりが出来ていた。



そして、フランソワーズはというと・・・



「あ!また破れちゃった・・・」
「どうだい、姉ちゃん。もう1回やってくかい?」
「もちろん!1匹ぐらい持って帰らないと!」
「おう!その意気だ」



すっかり金魚すくいにはまってしまったようで、僕の存在すら忘れられているんじゃないか・・・?!


いい加減待ちくたびれたのと、ここにいたらいくら使うか分からないという心配から、強引に彼女の手を引いて僕たちは別の場所へ移動した。




















「プイパカッハ?」
「ん?」
「ねぇジョー。プイパカッハってなぁに?」
「え・・?!」
フランソワーズの口から聞いた事もない言葉が出てきた。何かと思い店を見るとプラスティック製のキャラクターが紐と一緒に棒に吊るされており、その先に大きなタッパの中に真っ白な粉があった。僕は思わず大きな声で笑い出してしまった。





「な・・・何で笑ってるの?」
当然の質問を彼女がしてきた。
「あのね、フランソワーズ。これは<ハッカパイプ>と読むんだよ。文字を左から右に向かって読んだから<プイパカッハ>になったんだよ」
「・・・そんなの知らなかったから。だって普通文字は左から読むものじゃないの?」
「まぁ・・今でも右から読む国もあるけど、最近の日本は確かに左からだね。ちょっと昔の雰囲気を出そうとしてこういう書き方をしたんだろうけど・・」
僕は質問してきたフランソワーズの真剣な顔を思い出してまた笑い出してしまった。



「そんなに笑う事ないでしょ!!」
笑い声に満ち溢れていた周囲がこの彼女の一言で静まり返った・・・。
誰から見ても綺麗で清楚なフランソワーズが怒鳴り声を出したのだ。これにはさすがの僕も驚きの余り直立不動になってしまった・・・、なんせ今まで一度だってこんな大きくて怒りが込められた声を聞いた事がなかったから。
「あ・・、ごめん。バカにしたわけじゃないんだ・・・」
「もう知らない!」







ま・・・マズイ!
かなり怒っている!!
こ・・ここは何とか機嫌を直してもらわないと!!!








「あ・・あのねフランソワーズ。次はどこを見ようか?そうだ!クレープなんてどうだい?それともチョコバナナがいいかな?甘いものがイヤならたこ焼きもあるし・・・」
僕はとにかく彼女の興味を持ってくれる・くれないは別としてとにかくこの場から離れたい一心だった。
「・・・」
フランソワーズは何も言ってくれない・・・。
「ね?!そうだ!お面でも見に行こうか?」
僕はもう拝むようにフランソワーズを見た。
「お面?」
やった!<お面>という言葉に反応してくれた。
「うん、マスクといえばいいのかな?まぁ・・子供向けに売っているものばかりだから、君の気に入るものがあるかは分からないけど」
「おもしろそうね!行ってみましょう」







フランソワーズは僕の手を引っ張りながらお面屋へと走って行こうとするが、下駄のせいか思うように動けないらしい。僕も下駄を履いているから無論いつもよりは動きがスローなワケなんだけど、そんなことお構いなしなのかフランソワーズは過酷な要求をしてきた・・・。
「ねぇ、みんなにばれないように加速装置を使ってお店まで連れて行ってくれない・・・?」
「え・・えぇっ~?!」
「・・・やっぱりダメよね」







当たり前でしょう・・・。
こんなに人が多い場所で能力(ちから)を使うのもそうだけど、誰かに触れて大火傷をさせる恐れだってあるのに。
・・・・・・・・・今日の君はいつもと違ったかわいさがあるんだけど、何と言うかその・・・。














それからといえば・・・








あんず飴屋で、じゃんけんで勝ちフランソワーズは嬉しそうにしながらすもも・あんずに水あめで包まったみかんを両手に抱えながら持ってきたり、たこ焼きやでは・・歩きながら僕に食べさせてくれたり(まぁ、これは嬉しかったんだけど)、輪投げでは上手くいかないとごねて、結局僕が変わりに彼女の欲しい物をなんとか取ったり・・・と行く先々で楽しそうに笑っていた。







・・・・・・・・・、君が楽しそうにしてくれるのは僕としては最高の喜びでもある。










あるんだけど・・・・・・・・・



















「ただいま!」
「おかえり、ずいぶんとゆっくり遊んできたんだね」



玄関を開けるとピュンマが出迎えてくれた。フランソワーズといえば・・、祭り会場から帰るのが名残惜しそうだったけど、時間もすっかり遅くなっていると説き伏せて何とかギルモア邸に無事に戻る事が出来た。



「お祭りとやらはどうだったんだい?」
「とっても楽しかったわよ、ピュンマもみんなも一緒に来れば良かったのに!」
「そっか、それは良かったね。でもきっとジョーと二人だったから楽しかったんじゃないかな?」
「フフフ、そうかもしれないわね」
「何があったんだい?」
「それがね、色々なお店があって・・・」
「アハハハ・・」
「そうなのよ、それでね・・・」





僕の存在を忘れたかのように二人の会話は楽しそうに弾んでいる。






「そういえば誰かバスルームを使っているかしら?」
一通りの報告が終わったのか、フランソワーズはピュンマに他の人は何をしているのか訊いている。
「いや、まだ何人かは戻って来てないから、大丈夫だと思うよ」
「そう?それじゃあ・・」
フランソワーズはぐったりソファに座っている僕の元にやってきて、お先にバスルームを使わせてね、と言い残し行ってしまった・・・。





「・・・」
はいはい、と僕は心の中で言い、更なる疲労が襲ってきた。



「どうしたんだい?かなり疲れているようだけど・・・」
ピュンマが僕の様子に気付いたのか、声をかけてきてくれた。
「うん・・、ちょっとね」
実はフランソワーズがはしゃいで大変だったんだ・・と説明しようかと思った矢先だった。
「彼女、よっぽど楽しかったみたいだね。興奮しながら色々と教えてくれたよ。二人だけで一緒に行って良かったじゃないか!」
「あ・・・・・・・・・」
そう来たか・・・!
「あ・・、うん。僕も・・た・・・楽しかったよ」
「それじゃあ来年も二人で行っておいでよ」
「う・・うん、そうさせても・・もらおうかな」



アハハハハと笑い声が響くリビングとは裏腹に僕は来年も二人きりで行く事にやや動揺を隠せなかった。










「でもさ、ピュンマ・・・」
「どうかしたのかい?」
ピュンマは何事か?という様子で僕を見ている。
そんなに動揺していたつもりはないんだけど・・・。
「来年はみんなで行かないかい?日本の文化に触れるいい機会だと思うんだけどな」
「それは嬉しい誘いだけど、彼女ガッカリしないかい?」
当然の質問だ・・・。
「大丈夫だと思うよ。楽しいのは大人数のほうが楽しいと思っているからね、ぼく達」






こうして僕はピュンマのOKの確認も取らず、来年の夏の約束を、そうみんなにも了解も取らずに来年のアポを取った・・・・・・・・・。










スキピオさまのサイト「Sweet Bloom」で9999を踏み、書いていただいたお話です。
リクエストは、
 1)ジョー君とフランちゃんで縁日へ出かける。
 2)フランちゃんの我侭にジョー君が振り回される。
 3)できればピュン様を登場させて欲しい<私のリクはこれが必須らしい
だったんですが、申し分ないフランちゃんの我侭ぶりに大満足です。

冒頭の浴衣姿からノックアウト(死語)。
フランちゃんのうなじ・・・へ( ̄ρ ̄へ))))) ウヘヘヘヘ(壊)
そして、かわいらしいけど、有無を言わせない我侭の数々。
私が行って抱きしめてあげたいくらいですっ!

そう、実は私、3至上主義!(もう誰も信じません)

自分の原点を再確認しました。<で、確認したらどうするんだ?

そしてラストのピュンマ様、仲良しカップルを優しく見つめるお兄さんで、あぁ、もうダメです。
スキピオさま本当にありがとうございました!
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