ビリオネア 2/8 (お笑い/
Comments(0) )
アルベルトが消え、残されたメンバーで作戦会議がはじまった。
が、普段お店で忙しい大人が全くルールを知らないため、まずピュンマが解説をすることになった。
(ここから先、クイズのルール説明が続きます。ご存知の方は飛ばしちゃってください)
「番組のタイトルからわかると思うけど、クイズ番組なんだよ。
クイズは2段階あってね、最初は予選・・・って言ったらいいかな。参加者10人で早押し並べ替えクイズをするんだ。
クイズの内容は簡単さ。例えば バスケットボール 野球 テニス サッカー でチームの人数が少ない順に並べるとかそんな感じの問題が出るんだ」
「考えたらすぐわかりそうアル」
「解るだけじゃだめなんだよ。「早押し」というからには、一番早く正解を押さなきゃいけないんだ」
「なーるほど」
「で、無事に並べ替えクイズを通過できたら、いよいよ賞金を懸けたクイズに挑戦できるんだ」
「いよいよアルネ~」
「クイズは全て4択。答える時間は無制限。1問正解するごとに獲得賞金も増えるんだ。5問で10万円 10問で100万円、15問で・・・」
「1000万円アル。しかも4択だったら正解するの簡単アルネ」
「そう思うだろう?だけど、獲得賞金が増えると、それなりに問題も難しくなる。それに1問間違えるただけで即失格なんだ」
「じゃあ、ジェットはんは自分の力だけで15問連続して正解しないといけないアルか?」
「そう。と言っても、本当に1人の力だけで答え続けるのは難しいから、さっきアルベルトが言っていた、ライフラインがあるんだ」
「ライフライン?」
「そう。簡単に言えば、ライフラインを使って答えを他の人に教えてもらえたり、ヒントをもらうことができるんだ。
全部で3種類あってね、答えがわからないときに1回ずつ使うことが出来るんだよ。
会場のお客さんに答えをアンケート形式で教えてもらうオーディエンス。
4つの選択肢を2つまで減らす、フィフティー・フィフティー。
それから 仲間に電話をして30秒の間に問題を説明して、答えを教えてもらうテレフォン。
この3つさ。この3つをどこで使うかが、勝利の鍵になるんだよ」
(ルールの説明ここまで)
「それが、さっきピュンマはんが言ってた、テレフォンのメンバーアルか?」
「そういうこと」
「じゃあ、テレフォンのメンバーになれば、テレビに映るアルか?」
「そうね。映るわよ」
ニッコリとフランソワーズが微笑むと、張大人は俄然張り切りだし、
「それは、張々湖飯店の宣伝になるアル。宣伝のハッピを作るアルね~~。もちろん、ワテもテレフォンに出るアルヨロシ」
言うや否や、デザインをどうしようとか、どこに頼むのが安いのかとか、金勘定を始めた。
床に跪いて、なにやらメモにいろいろ書き始めている。
もう、作戦会議どころではない。
「ま・・まぁ、大人は料理の専門家なわけだから、そういう問題の時には頼りになるよね。あとは?」
「フランソワーズは芸術問題に強いんじゃない?」
「姫君は、確か専門は電子工学であったろう? 科学問題も大いに期待できるではないか」
「そ・・そんなこと、ずいぶん昔のことで忘れたわよ」
と桜色に染まった頬に手を当てながらも、フランスワーズはすっかりその気だ。
「それで・・・申し訳ないけど・・・」
ピュンマがすまなそうに口を開いた。
「僕は来週にはムアンバに帰らないといけないんだ。だから、参加は無理だと思う」
「オレも、すまん」
ジェロニモも後に続いた。
「ということは、残りはグレートと僕で決まり?」
ジョーが言うと、全員が頷いた。
「おっと、あとは当日の応援だけど、ギルモア博士を連れて行くぞ、いいよな」ジェットがここだけは譲れないといわんばかりの勢いで全員に同意を求める。
「あぁ。博士が良いんだったら僕らに異存はないよ」
ジョーはニッコリと微笑みながら優しく答えた。
「決まったアルか?早速ハッピ作るあるよ。じゃんじゃん映って、お店の宣伝するアル~」
タウンページめくる大人の声に気合がこもる。すでに頭の中はハッピ一色らしい。
「ピュンマはん、あんたも手伝うあるヨロシ。安いハッピを作ってくれるお店探すアルヨ。自慢のパソコンでジャンジャン調べてちょーだいねーーー」
「わ・・・わかったよ」
口元をゆがめ、しぶしぶながらも承諾するピュンマ。
しかし、彼は策士、侮ってはいけない。善人顔で困った風を装いながらも、誰もが忘れている「事態の整理」をしていた。
#ハッピを着るのは大人だけなのか・・・まさか。
#少なくともジェットは着させられるだろう。本人は全く気付いていないだろうけど。
#おそらくテレフォンに出る4人の仲間も着る羽目になるに違いない、気の毒に。
#応援に出かけるであろう博士だって着ないわけにはいかないはずだ。
#ハッピのデザインは大人好みに違いなく、中国4000年の歴史も驚くほどのド派手なもの、
#かつ、店の宣伝が目的とあれば、でかでかと 「張々湖飯店」 の文字が刻まれるに違いない。
それを自分は着なくて済む。だって当日はムアンバに居るのだから。
思わずニヤリと笑みがこぼれた。そして、ピュンマの傍らに無言で立っていたジェロニモも、彼の心を読んだのか、少しだけ口元が緩んでいる。
「グレートはんも手伝うアルネ。ピュンマはんの部屋に集合よ! 来週までにデザイン業者と発注業者を選ばなくてはならないからね。あーー忙しくなるあるよ!」
そう言うと、大人、グレート、ピュンマ、ジェロニモは2階へと姿を消した。
大人達が消えると、ようやく玄関ホールにいつもの静けさが戻ってきた。
「それにしても、1000万円取れなかったら1日パシリになるなんて、アルベルトとあんな約束をして大丈夫なの?第一、センターシートに座るのだって相当に難しいはずよ」
フランソワーズが心配そうに尋ねた。どう考えたって、今度の賭けはあまりにもジェットに不利だと思ったのであろう。
だが、ジェットは陽気に笑い飛ばして、
「心配ご無用!こっちには取って置きの秘策があるんだぜ~」
「秘策?」
フランソワーズは少しだけ嫌な予感がした。が、背後から肩をぽんと叩かれ考え事も中断された。
「さぁ、僕たちも勉強しなきゃ、ね♪」
意外と楽しそうなジョーであった。
やれやれ、と溜息を付きながら、フランソワーズは18歳コンビの後をついてリビングへと向かったのである。
<Prev. Next>
(03年6月3日 NBG様へ投稿)
アルベルトが消え、残されたメンバーで作戦会議がはじまった。
が、普段お店で忙しい大人が全くルールを知らないため、まずピュンマが解説をすることになった。
(ここから先、クイズのルール説明が続きます。ご存知の方は飛ばしちゃってください)
「番組のタイトルからわかると思うけど、クイズ番組なんだよ。
クイズは2段階あってね、最初は予選・・・って言ったらいいかな。参加者10人で早押し並べ替えクイズをするんだ。
クイズの内容は簡単さ。例えば バスケットボール 野球 テニス サッカー でチームの人数が少ない順に並べるとかそんな感じの問題が出るんだ」
「考えたらすぐわかりそうアル」
「解るだけじゃだめなんだよ。「早押し」というからには、一番早く正解を押さなきゃいけないんだ」
「なーるほど」
「で、無事に並べ替えクイズを通過できたら、いよいよ賞金を懸けたクイズに挑戦できるんだ」
「いよいよアルネ~」
「クイズは全て4択。答える時間は無制限。1問正解するごとに獲得賞金も増えるんだ。5問で10万円 10問で100万円、15問で・・・」
「1000万円アル。しかも4択だったら正解するの簡単アルネ」
「そう思うだろう?だけど、獲得賞金が増えると、それなりに問題も難しくなる。それに1問間違えるただけで即失格なんだ」
「じゃあ、ジェットはんは自分の力だけで15問連続して正解しないといけないアルか?」
「そう。と言っても、本当に1人の力だけで答え続けるのは難しいから、さっきアルベルトが言っていた、ライフラインがあるんだ」
「ライフライン?」
「そう。簡単に言えば、ライフラインを使って答えを他の人に教えてもらえたり、ヒントをもらうことができるんだ。
全部で3種類あってね、答えがわからないときに1回ずつ使うことが出来るんだよ。
会場のお客さんに答えをアンケート形式で教えてもらうオーディエンス。
4つの選択肢を2つまで減らす、フィフティー・フィフティー。
それから 仲間に電話をして30秒の間に問題を説明して、答えを教えてもらうテレフォン。
この3つさ。この3つをどこで使うかが、勝利の鍵になるんだよ」
(ルールの説明ここまで)
「それが、さっきピュンマはんが言ってた、テレフォンのメンバーアルか?」
「そういうこと」
「じゃあ、テレフォンのメンバーになれば、テレビに映るアルか?」
「そうね。映るわよ」
ニッコリとフランソワーズが微笑むと、張大人は俄然張り切りだし、
「それは、張々湖飯店の宣伝になるアル。宣伝のハッピを作るアルね~~。もちろん、ワテもテレフォンに出るアルヨロシ」
言うや否や、デザインをどうしようとか、どこに頼むのが安いのかとか、金勘定を始めた。
床に跪いて、なにやらメモにいろいろ書き始めている。
もう、作戦会議どころではない。
「ま・・まぁ、大人は料理の専門家なわけだから、そういう問題の時には頼りになるよね。あとは?」
「フランソワーズは芸術問題に強いんじゃない?」
「姫君は、確か専門は電子工学であったろう? 科学問題も大いに期待できるではないか」
「そ・・そんなこと、ずいぶん昔のことで忘れたわよ」
と桜色に染まった頬に手を当てながらも、フランスワーズはすっかりその気だ。
「それで・・・申し訳ないけど・・・」
ピュンマがすまなそうに口を開いた。
「僕は来週にはムアンバに帰らないといけないんだ。だから、参加は無理だと思う」
「オレも、すまん」
ジェロニモも後に続いた。
「ということは、残りはグレートと僕で決まり?」
ジョーが言うと、全員が頷いた。
「おっと、あとは当日の応援だけど、ギルモア博士を連れて行くぞ、いいよな」ジェットがここだけは譲れないといわんばかりの勢いで全員に同意を求める。
「あぁ。博士が良いんだったら僕らに異存はないよ」
ジョーはニッコリと微笑みながら優しく答えた。
「決まったアルか?早速ハッピ作るあるよ。じゃんじゃん映って、お店の宣伝するアル~」
タウンページめくる大人の声に気合がこもる。すでに頭の中はハッピ一色らしい。
「ピュンマはん、あんたも手伝うあるヨロシ。安いハッピを作ってくれるお店探すアルヨ。自慢のパソコンでジャンジャン調べてちょーだいねーーー」
「わ・・・わかったよ」
口元をゆがめ、しぶしぶながらも承諾するピュンマ。
しかし、彼は策士、侮ってはいけない。善人顔で困った風を装いながらも、誰もが忘れている「事態の整理」をしていた。
#ハッピを着るのは大人だけなのか・・・まさか。
#少なくともジェットは着させられるだろう。本人は全く気付いていないだろうけど。
#おそらくテレフォンに出る4人の仲間も着る羽目になるに違いない、気の毒に。
#応援に出かけるであろう博士だって着ないわけにはいかないはずだ。
#ハッピのデザインは大人好みに違いなく、中国4000年の歴史も驚くほどのド派手なもの、
#かつ、店の宣伝が目的とあれば、でかでかと 「張々湖飯店」 の文字が刻まれるに違いない。
それを自分は着なくて済む。だって当日はムアンバに居るのだから。
思わずニヤリと笑みがこぼれた。そして、ピュンマの傍らに無言で立っていたジェロニモも、彼の心を読んだのか、少しだけ口元が緩んでいる。
「グレートはんも手伝うアルネ。ピュンマはんの部屋に集合よ! 来週までにデザイン業者と発注業者を選ばなくてはならないからね。あーー忙しくなるあるよ!」
そう言うと、大人、グレート、ピュンマ、ジェロニモは2階へと姿を消した。
大人達が消えると、ようやく玄関ホールにいつもの静けさが戻ってきた。
「それにしても、1000万円取れなかったら1日パシリになるなんて、アルベルトとあんな約束をして大丈夫なの?第一、センターシートに座るのだって相当に難しいはずよ」
フランソワーズが心配そうに尋ねた。どう考えたって、今度の賭けはあまりにもジェットに不利だと思ったのであろう。
だが、ジェットは陽気に笑い飛ばして、
「心配ご無用!こっちには取って置きの秘策があるんだぜ~」
「秘策?」
フランソワーズは少しだけ嫌な予感がした。が、背後から肩をぽんと叩かれ考え事も中断された。
「さぁ、僕たちも勉強しなきゃ、ね♪」
意外と楽しそうなジョーであった。
やれやれ、と溜息を付きながら、フランソワーズは18歳コンビの後をついてリビングへと向かったのである。
<Prev. Next>
(03年6月3日 NBG様へ投稿)
PR