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星祭りの夜 Pyunma Version  (ピュン誕Comments(0) )

超銀河伝説の話を元にした話です。
ご覧になってない方には、?ってところがあるかと・・・(謝)




あれから3ヶ月・・・・







国際宇宙研究所に程近い砂浜。ピュンマはそっと腰を下ろし、遥か水平線の燃えるように輝く星々を眺めていた。






超生命体ボルテックスとの遭遇。
強大な悪の権化、ゾアとの長く苦しかった戦い。







(あんなに辛かったのに、今はもう夢みたいだ。)







仰向けに寝転がると、何億もの星々に視界が占領された。
眩しいくらいの輝き。思わず目を細める。
眼前に迫り来る宇宙は、徐々にその裾野を延ばし、海を、砂浜を、そして彼自身をも飲み込んでしまおうとしていた。






さっきまで遠慮がちに響いていた波の音が、いつの間にか聞こえなくなっている。
音さえも星空に吸収されてしまったのだろうか?
星が放つ音が聞こえてきそうだ、と彼は思った。
目を閉じる・・・・


だが、彼の想像した パチッ パチッ という音が聞こえることは無かった。











(彼女だったら・・・・聞こえるのだろうか?)









特別な耳をもつ、紅一点の仲間を想う。









(まさかね)

非科学的な空想を、彼は自嘲気味に笑った。















「ピュンマ・・・・」





ふいに背後から名前を呼ばれ、彼は現実に引き戻された。





「フランソワーズ・・・・」



身体を起こしながら、振り返り、驚いたような声でその名を呼んだ。
フランソワーズは薄く笑う。、




「ごめんなさい・・・あなたが・・・その、歩いてくるのが見えたから。」
「いや、構わないよ。」




そう言うと自分の隣を彼女に薦めた。
少し距離を開けて、彼女が座る。






パリでの公演が終わった後、彼女は単身、日本に戻ってきた。
てっきりジョーとともに行動するものを思っていた彼や仲間たちは驚いた。





「まだ・・・・あのことを気にしてるの?」遠慮がちにピュンマが尋ねる。
「う・・・ん、 気にしてないといえば嘘になるけど・・・・」
「けど?」
「この星空を見てたら、自分の悩みなんて凄く小さなものに思えちゃって。」






そう言って彼女はクスリと笑った。







     恋人の裏切り――








あまりにも巨大(おお)きすぎる宇宙の中で、それは本当に些細でつまらないことに思えた。










「そうかもね。」
こんなときハインリヒなら気の利いた言葉をかけられるだろうに、彼は心の中で軽く舌打ちをした。
「そんなことよりね・・・・」
彼女が空を仰ぐ。






天頂を横たわる天の川が緩やかなカーブを描きながら水平線に身体を預けるサソリに注ぎ込む。 サソリ座からいて座にかけて、光が洪水のように溢れていた。







「こんな広大な宇宙の中で、かけがえの無い仲間に出会えたことをね、感謝してるの。」







あまりにも長すぎる自分たちの生命(いのち)。
信頼できる仲間たちでなくては到底耐え抜くことが出来なかったであろう、過酷な運命。
確かにそれは奇跡の出会いだったのかもしれない 。






「本当だね。他の誰でもない、君や、他の仲間たちで本当に良かったって思ってる。」
「でしょ。」









パチッ パチッ と星が囁く音が聞こえたような気がして、2人は暫く空を眺めていた。











「ねぇ・・・」
「ん?」
「あの辺りが銀河系の中心なんでしょ?」彼女はサソリの心臓の赤い星を指差す。
「あぁ。 そして僕たちはあそこよりも遥かに遠いところへと旅したんだ。」
「夢みたい・・・。」






そして、その旅で出合ったファンタリオン星の王女タマラ、そしてコマダー星の若き指導者、サバ・・・・。
彼らとの出会いもまた奇跡だったのかもしれない。








「サバ・・・・元気かしら?」
「あぁ、きっとコマダー星の復興を懸命にしているよ。」
「そういえば、サバっていえば・・・」
フランソワーズが可笑しそうに笑う。
「ずいぶんグレートに懐いていたわよね。」
「あぁ。コマダー星のテクノロジーの進歩は地球の比じゃないけれど、芸術の発達は寧ろ遅れているようだったからね。グレートの演劇話が新鮮だったんだろう?」
「ヒマさえあれば、グレートに纏わり付いて・・・。」
「そう。おかげで僕たちは、彼の演劇論を聞かされなくって助かったじゃない。」


2人は声をそろえて笑った。


「素敵ね・・・」
「何が?」
「新しい人達と出合って、交流して、新しい文化が生まれていくの。」
「これからの地球とコマダー星で?」
「そう。」
「そうだね、争うこと無く、助け合えば、新しい技術や芸術が生まれる。」
「どうしてみんな、戦うのかしら・・・・・・」
「難しい・・・・ね。」







星空を切り裂くように、流れ星が優雅な軌跡を描いて水面へと消えていった。








2人は静かに祈りを捧げた・・・・。











(終)








― ・ ―  その後  ― ・ ―


「ねぇ・・・」
すこし照れくさそうに、ピュンマが口を開く。
「何?」
「今日のテレビ、9時からドラえもんの映画だったよね。」
「は?」
「いや、何ていうか・・・・サバとグレートの話をしていたら、急に見たくなっちゃって・・・。何でだろうね。」
「やだ、変なピュンマ。」
フランソワーズが声を立てて笑う。
「いいわ。戻りましょ。急がないと始まっちゃうわ。」
立ち上がると、身体についた砂を払った。
「なんだか・・・すまないね。」
「気にしないで・・・」



「それに、ここだけの話だけどね、アタシもコズモ博士と話をしていると、無性にサザエさんが見たくなるのよ。」






(本当に、終り)






すみません!!


超銀河伝説をご存知でない若いファンの方々には何のことだか????なオチで。

えぇっと、解説です。
新サイボーグゼロゼロナインおよび超銀河伝説で007のお声を担当されたのは肝付兼太さん。えぇ、ドラえもんのスネ夫で有名なベテラン声優さんです。

そして超銀河伝説でのゲストキャラクターサバ、彼のお声を担当されたのは、こちらも大ベテラン小原乃梨子さん。 そう、のび太をアテレコされてる方です。

超銀河伝説での007とサバの掛け合いでは、ドラえもんが脳裏をよぎり、ちょっと笑っちゃいました。幸い「笑う」シーンだったので救われましたが。

ということで、彼らの噂話をしていたら、何気にドラえもんが見たくなっちゃったピュンマでした。ピュンマ、案外ドラえもんが好きそうに思うのですが、どうでしょう?

そして、ラストのオチ、もうお気づきでしょうが、超銀で出てきたコズモ博士(コズミ博士ではないです。念のため)のお声はサザエさんで波平さんをやってらっしゃる永井一郎さんです。


こんな誕生日SSで申し訳ない・・・・・。(涙) 誕生日らしくないし。
来年はもう少しだけがんばるからさ。
それより、来年このサイトが存続しているかどうかのほうが、疑問。(苦笑)
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