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Alternative  (ピュン誕Comments(0) )

初めてミッションものに挑戦しました
少しだけ83風味で・・・(マイナー路線まっしぐら)
Le Festival de Freesia様への献上物。(2003年ピュン誕)




基地を駆け抜ける突然の警報。刹那、景色が赤に染まる。



「見つかったぞ!」身構える007。
「来たわ、前方からロボット兵。気をつけて!」
003の言葉が終わらないうちに、無数のロボット兵が行く手を遮る。

幾筋にものびるレイガンの輝跡。
左右に散り、スーパーガンで応じる。
「くらえっ!」
004がマイクロミサイルを放つ。緩やかな放物線を描いたそれが敵の中央に着弾すると、爆風と爆音で身体が大きく揺さぶられた。黒煙が立ち昇り、敵の姿が瞬く間に煙る。
「やったアルか?」006が前方に目を凝らす。
が、拡散した煙の合間から再び現れたロボットの群れ。
飛び交う赤の閃光。
「くそっ、この数じゃこなしきれねぇ。」002が吐き捨てる。
「008は中央制御室へ、早く! 003、彼の誘導を頼む。」009の声が飛んだ。
「行けっ、ここは俺たちが食い止める、早く!」004が叫ぶ。
「わかった、頼んだ。」
そう言い残し、008と003はマフラーを翻して脇の通路へと入った。






時間が無い、一刻も早くこの基地の動力を停止させなくてはいけない。





通路に反響する、靴音。荒い息遣い。
走り続ける2人を警報が執拗に追いかけてくる。

「30m先を右・・・。あっ、でも敵が!」うわずった003の声。
「何人?」
「2,3・・・5人よ。」
「僕が先に行く、下がってて。」

003を後方に下げ、008は壁に寄り添い気配を殺す。
次の瞬間、通路に踊り出、パラライザーの引き金を引く。
不意を付かれた兵士達は、銃を構える間もなく次々と床に崩れ落ちた。
「さぁ、行くぞ!」

更に走リ続ける。
通路に反響する号笛、赤色化した景色。
サイレンの音が鼓膜に容赦なく叩きつけられる。 なのに、自分たちの小さな足音が、敵に居場所を告げるかのように、空気を、壁を、突き刺すように響く。 脇道から次々と姿を現す敵。飛び上がり下から蹴り上げ、みぞおちに拳を入れ、敵を次々と足元に横たわら せていく。



「この先、この通路の突き当たりが中央制御室よ!」
走りながら003が目標を指差す。
遥か前方、そこには重厚の鉄壁がそびえ立っていた。



「ここだ!」
扉をこじ開けようとするが、頑丈なそれはピクリとも動かない。
「ダメ、やっぱり開かない。」
「下がってて。」

008がブラスターガンを放つと、凄まじい火花が飛び散り、頑丈な扉に空洞が出来た。
2人は警報の音に追い立てられるように中へと入った。









だが、部屋に入った瞬間――







そこは異様なほどの静寂に包まれていた。






警報の音も、人の姿も無く、エネルギー炉だけがが気の遠くなるような高さの天井までそそり立っていた。金属製の壁が反射する不気味な光。エネルギー炉は低く静かに唸り、部屋全体を鈍く振動させていた。
気味の悪い予感が粟立つように全身を駆け抜ける。一瞬気後れした2人だったが、ごくりとツバを飲み込むと制御コンピュータの前へと進んだ。








――――――――――――――――――


PASSWORD?


――――――――――――――――――





008がパスワードを打ち込む。





――――――――――――――――――


Welcome・・・


――――――――――――――――――





続いて現れたメニュー画面に、彼は「エネルギー炉停止」の文字を見つけた。


「これだ。」番号を入力しキーを押す。すると―――






グゥーン、グィンウィン・・ウィン・・ィ・・ィ・・・・ィン






エネルギー炉の地響きが徐々に弱まる。







グン・・・・・・・。





そして、停止―――。










「ミッション完了?」003の声。
「らしいね。」あっけない幕切れに008が苦笑を漏らす。

振り返って、『さあ、戻ろうか』と言いかかった刹那、






キーーーーーーン





甲高い狂音が静寂を突き破った。
エネルギー炉の中心部が異様な光を放ち始め、先ほどとは異質の鼓膜を掻き切る音に部屋が支配される。



「な・・・なんだ?これは?」



<<侵入者ニ アクセスサレタ 自爆モードに切リ替ワル。 爆発マデ アト10プン>>


感情の無い機械音。

「しまった、罠だったんだ!」
悲痛な008の声、しかしそれはエネルギー炉の回転音に掻き消された。
「あっちを見て!」003が叫ぶ。
指差した方向には、ロボット兵。
一斉にレーザーが放たれる。咄嗟に制御コンピュータの陰に隠れる2人。脇を、頭の上を、幾筋もの赤光が突き抜けていく。

「003、時限回路を捜してくれ。」

コンピュータの陰で防戦一方の008が叫ぶ。
ロボットの前線がじわりじわりと迫りくる。

周囲をくまなく探す003、が、甲高い音に集中を欠く。
(落ち着いて・・必ずどこかにあるはずだから、・・・)
天井、壁、床、エネルギー炉・・・・
目をエネルギー炉の根元に移したとき、数字を刻む赤いLEDが視野に入った。
「あっ、あったわ!」
幸いそれは自分たちのすぐ近く、制御コンピュータとエネルギー炉の隙間にあった。
「僕はここで奴らを食い止める。その回路を停止させてくれ!」
「やってみる」
003は隙間に身を滑り込ませると、爆発音を背にしながら、配線を解析する。
想像以上に複雑な回路だと一目で理解した。
ジトリと背に汗が流れる。
下唇を噛み締め、じっと回路を読む。
「これを切って・・・次はこれ。」
彼女の的確な判断で複雑な回路が徐々に解きほぐされていく。





ズドォォォーーーン




凄まじい爆音に思わず身が縮んだ。
008の投じた手榴弾が敵の中心部に入り、かなりのダメージを与えたらしい。敵の被害の大きさは音でわかる。それでも尚、金属が擦れ、ぶつかり合う音が消えない。相手の数は相当なものだ。



手榴弾の煙の中から現れた、無数のロボット兵。
「くそっ、一体、どれだけ居るんだ!」
008はレイガンからエネルギーマグナムに切りかえた。引き金を引くと光球が凄まじい勢いで敵陣に飲み込まれる。
先ほどより更に大きな爆発音が床を壁を激しく揺らす。
一気に形勢が逆転したかのように思えた。

だが・・・

カチッ、カチッ


「しまった、エネルギーが切れた。」
「これ使って!」

背後から投げられた003のスーパーガンを掴む。

「サンキュ、」

再び、制御室に激しい爆音が起こる。



<<爆発マデ アト3プン>>



配線を切る手が震える。
判断のミスは死を意味する。
自分たちが、仲間達が一瞬にして掻き消える。
ごくりとツバを飲み込むと、それは渇ききった喉に絡みついた。
(あと少し・・・)
数えるほどにまで減ったコード。
だが、それが事体の好転を意味するものではない。
死と背中あわせの状況は全く変わっていない。


ようやく背後の爆音がまばらになってきた。戦いは終焉に近づいているらしい。



<<爆発マデ アト2フン>>



「こっちは片付いた、そっちはどう?」

彼女の隣に008が滑り込む。
エネルギー炉のけたたましい音だけが反響する。
手元の時限回路は刻一刻と時間を刻み、残り時間の数字が小さくなっていく。
「あと・・・2本。 どちらかを切れば止められるの。」



<<爆発マデ アト1フン>>



「でも、どっちを切っていいのか、わからない。」
目の前の回路は彼女の慎重な仕事で見事に配線が切られていた、ただ2本を除いて。008もまた、回路の配線を目で追い、2つのどちらを切るべきかを確認する。



<<50ビョウ>>



しかし、たった1つのICがその解析を拒む。
「くそっ、これがブラックボックスか・・。」



<<40ビョウ>>



IC表面の型式番号。
「003、このICの仕様、わかる?」
「ううん、見たことも無いタイプよ。わかればこんな苦労はしてないし。」
「いよいよ手詰まりか・・・。」
額から汗が滴り落ちる。


<<30ビョウ>>



「決めて。」
「何を?」
「あなたが決めて 赤の線か 白の線 どちらを切るか。」
「・・・・」
「どっちでも・・・構わないから。」覚悟を決めた蒼い瞳が彼を見つめる。
「だめだ、あきらめるな!!フランソワーズ!」008の怒声が飛ぶ。



<<20ビョウ>>



(絶対に君をジョーのところに帰すんだ。)



<<15ビョウ>>



(何か手がかりがあれば―――)



必死に回路を凝視するが、しかし、どちらがいいのか判断できる材料はもう、残っていない。



<<10ビョウ>>



もう、一か八かである。



<<9>>



「!」



<<8>>



そのときあるものが008の目に止まった。



<<7>>



「こっちだ・・・このコードに違いない。」
赤いコードに手をかける。



<<6>>



(これでダメなら・・・許してくれ、ジョー)



<<5>>



「切るよ」
008は003にふわりと微笑んだ。
戦闘中には見せない彼の包み込むような笑顔。



<<4>>



003は彼の腕をしっかりと―――――掴んだ。



<<3>>



ブチッ


















キーーーーン・・キュルキュル・・・・キッ・・キッ・・・・ッ。









エネルギー炉が停止し、辺りが静寂に包まれた。










「助かったぁーーー。」
額に汗をジトリとかいた008は思わず背後の壁にもたれた。
「ありがとう。」
003も彼の隣で壁にもたれた。腕をつかんでいた掌は、汗でぐっしょり濡れていた。
放心状態の2人はしばらくそうしてエネルギー炉を見上げていた。








「そうだ、みんなのところに戻らないと――」

008が立ち上がろうとするが、003は「大丈夫。」と彼の声を遮る。
「ちゃんと視てたから・・・。今戻っても、ついた頃には決着(カタ)がついてるわ。」
「そう・・・。」
008は再び元の場所へ座りなおした。






暫しの沈黙―――





「ねぇ。」
静寂を破ったのは彼女の声。
「なに?」
「どうして赤い線を切ろうと思ったの?」
エネルギー炉を見上げたままの問いかけ。
「知りたい?」
「えぇ。」
「・・・・これさ。」
そう言って、引きちぎったコードを彼女に渡した。
コードには「ECBBW0820XA」の文字。
「これ?」
「そう。」
「これってコードの・・・」
「そう、おそらく、部品番号か規格か・・」
「それがどう関係あるの?」
「0820って数字があるだろう。」
「0820?」
解らないという表情を浮かべて003が困惑する。
008は悪戯っぽく笑うと、
「0820・・・8月20日・・・それって僕の誕生日なんだ。」
「誕生日? コードに誕生日と同じ数字があったからって・・・、それだけの理由でこっちを切ったの?」
「そうさ。」
「やだーー。アタシったら、あなたの誕生日に命を預けたのね。」
「一か八かなんだから、理由なんてどうでもいいだろう!」
「でも――」
2人は顔を見合わせて大声で笑った。
「あっ、ちょっと待って」
急に003は真剣な顔になるとポケットの中から懐中時計を取り出した。
「だって、明日って8月20日よ。しかも・・・」

「10,9.8・・」
と003は楽しそうに小声でカウントダウンを始めた。

「3,2,1・・」
歌うように数字を読み上げる


「0!・・・・ピュンマ、お誕生日おめでとう。」
蒼い瞳がふんわりと微笑んだ。
自分だけに向けられた特上の笑顔。

「ありがとう。」
はにかみながらも嬉しそうに彼は応えた。





<<そっちの様子はどうだ?こっちは全部片付けたぜ!>>
脳内に響く緊張感を欠いた陽気な声。
<<こっちも終了、今戻るよ。>>
<<了解っ!急げよ、ジョーが心配してるぜ。>>
<<もう・・ジェットったら・・。>>
困惑気味のフランソワーズの頬がピンク色に染まっているのは戦いの名残か、それとも・・・。
(ちぇっ、せっかくいいところだったのに。)
ジェットの脳波通信にピュンマは軽く舌打ちをし、それでも楽しそうに立ち上がった。






「帰ろう、みんなが待ってる。」







<<言い訳>>


ミッションで迎えた誕生日。
意外な形で自分の誕生日をメンバーに知られるのもいいかなと思って書いてみました。83にしてみたのは、私の趣味。


それにしても・・・・・。

 たった1本の銅線で時限回路とエネルギー炉が停止するのか? とか
 仕様が解っただけでICの中身までわかってしまうのか? とか
 そもそも、エネルギー炉ってなにさ。 とか
 停止させただけじゃなくて、きちんと破壊しなくっちゃダメでしょう。 とか。

いろいろ思うところはあるでしょうけれど、書いた本人も良くわかっていないので、お許しください。


駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
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