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呼名  (遠雷(いただきもの)Comments(0) )

juiさまに無理やり書いて頂きました。8と周先生の15禁!!
juiさま夢をかなえてくださってありがとうございました!




 波の音が、聞こえる。


 静寂に奥行きを与えた、ワンポイントのよう、に。



 

 ただ穏やか、に。

 







 それだけ、な──────筈なの、に……



















「…ふ…っ ぁ……」





        ……なんだ?





「あぁ…… っ …」





        一体、僕は。
















        何を、しているんだ?
























 頭に靄がかかったような、気分だった。
 自分が今、何をしていたのか、全然、分からなくて。
 だけど。

 チラリと聞こえてきた。


 
否。








 目の前で、溢れてきた──────ひどく甘い、吐息、に。



 意識が、ますます流されていくような、気がした。












「ね、ぇ……っ」




 僕の手は。
 指は。
 舌は。




「そん、な…にっ…… ぁ …」





 何を、している?
 









─────────誰、を……抱いてる…?
















 ゆるりと、浮上してきた意識とは裏腹に。
 僕は、忙しなく『その女(ひと)』の身体をまさぐっていた。
 何時も響いてくる、波の音にかき消されながらも。
 酷く妖艶な吐息は、やけに大きく、脳裏に響いてくる。

 華奢な身体を──────撫で上げて、虐めて、焦らして。


 






───────何を、して、いる?


───────僕は…何をしているんだ?







 そして。













───────『誰』を…抱いているんだ………?


















 分からない──────分から、ない。

 だけど、その疑問と矛盾して。
 僕は。


 凄まじい勢いで、『その女』を、突き上げて、いる。









「ぃや、ぁ…っ! ……っ」






 ……誰?






「壊、れっ……る…っ」







 ……君は、誰?









 見えない、分からない。
 
 霞のような吐息の正体、を。
 妖艶な、響きを。







 僕に、見せてくれ───────














 ぎりり、と……細い爪が、僕の背に食い込んだ。
 痛みは、感じない。
 傷さえも、つかない。


 君は。




「もう、だ、め……っ」






 誰、なんだ……?!



























「………ピュン、マ」



























 細い──────消え入りそうな呼び声が、耳元に響き。

 僕は、目を見開いた。



 吐息だけでは、分からなかった。
 華奢な身体を見ても、分からなかった。

 だけど、今。




 ハッキリと、その『声』に、違和感を感じたんだ。


 いや、正確には『声』では、なく。









 貴女が囁いた、その『呼び名』、に─────── 













 貴女の一言に、霧が晴れていくようだった。
 視界が、一気に鮮明になった。
 そう……貴女は決して。










 僕のことを、『名前』で呼んだりは、しなかった、から──────── 












 絶頂を通り越して、緩やかになっていく、吐息。


 細い、肩。

 細い、腰。


 抱きしめた腕に力を込めると。
 更に身体が、密着度を、増した。

 擦れ合うように、近づく、顔と顔。



 快楽に濡れた、瞳が。
 その。


 鈍色の瞳、が。



 僕を見て、綺麗に…微笑んだ。

















 ───────────── 周 ………


































「呼んだ?」






 突然、飛び込んできた声。
 思わず僕は、ビクリと身体を震わせた。

「……あ、れ?」
「だから、私を呼んだ? 8番目」
「……………え…?」

 不思議そうに覗き込んでくる、鈍色の瞳。その手には、たくさんの洗濯物を入れたカゴ。
 訳が分からなくて周りを見渡してみれば……見知った風景。
 そう、リビング、だ。
 足下には、手から滑り落ちたであろう読みかけの本が、ある。
 そして、身体には…いつの間にか柔らかい毛布が掛けられていた。
「僕…」
「なぁに? 寝言?」
 混乱しきった表情をしていると、鈍色の瞳……周は、呆れたように微笑した。

 そうか、僕……



 うたた寝してたのか……






 じゃ、さっきのは────────夢……?











 一瞬で、顔が紅くなった。
 そんな僕の様子に、周は怪訝な顔をしたが。
 淡々と、そしておもむろに洗濯物をたたみ始め、そしてすぐに「手伝え」というような視線を投げかけてきた。
 殺気にも似たそれを受け止め、夢の中でとは違う意味で身体が震えた僕は、いそいそと周の側に駆け寄る。
 散々「たたみ方が違う」だの、「そんなふうにしたらシワになる」だの……注文を付けられたが。



 そんな言葉、は。


 何一つ、耳に残らなかった。







 なぜなら。






 貴女の優美な仕草や、綺麗な指や顔に釘付けになってしまった、から。












 あの吐息。

 あの貌。

 あの肢体。










 なぜ僕は──────────あんな夢を見たのだろう、か……


















「───────周」




 身体が、アツイ。




「ねぇ、周」




 身体の奥底も、アツイ。




「先に…」




 意志と反して。















「謝っておく、よ」















 何故か貴女に伸びて行く、指先。
























 確かめずには、いられない。



 夢と現実が、きっと同じである、と。




 貴女の手、も。
 貴女の身体、も。
 貴女の吐息、も。


 全て非現実(ゆめ)の世界で見たままだ、と────── 












 そして僕を呼んで、欲しい。

 あの濡れた声で、今一度。






 そう、今一度…












 一度だけで、いい、から───────────

















                <了>





凛樹館のjuiさまに無理やり書いて頂きました。
ありがとうございます。juiさま!!!(感涙)

ノーマルに15禁な彼を読みたい!という管理人の 我侭にjui様だけでなく、周様まで応援してくださって・・・(涙)
ピュンマが艶っぽい感じでドキドキしました。やっぱり彼は 格好いいのですっ!!っていうか今までノーマルな彼が無かったのが不思議なくらいで・・・。

きっとこの先は・・・いえ、想像するのは野暮というもの。 お2人の成り行きにお任せするとして・・・。だた、ますますピュンマが周を 恐れない事態に発展しないことを願って止みません・・・いや多分無理なんですけどね(肩落とし)。


なんでもjuiさま、これからは周総受けでいくとかいかないとか・・・(小躍り)
凛樹館から目が離せないですねっ!!

juiさま、本当にありがとうございました。
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