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今、ここにある危機 part2  (008/オヤジギャグ設定Comments(0) )

009ご一行様はミッションにお出かけします(ただしイワンと博士はお留守番)
後はタイトルから察してください。





―――― その場所は死に覆われていた……






 大地を覆っていた草はすべて枯れ果て、むき出しになった地表は所々でひび割れる。日射しをさえぎるものは何ひとつ無く、 容赦無く照りつける太陽の光にしびれるような痛みすら感じた。 水を求めて力尽きた獣の躯が腐ることなく干乾びる・・・・。
 悲惨という言葉だけでは到底形容することのできない、それはまさに現世に再現された「地獄」そのもの。






「ひでぇもんだ、このあたりで生きてるモンなんて、ただのひとつもありゃしねぇ」
 吐き捨てるような002の言葉に、全員が無言で頷く。
「で、イワンが予告したポイントはこのあたりで間違いないんだよな」
 振り返る004に009が手元のコンパスを確認する。
「うん、メイワンシティーの西北西500km、だからここで間違いないはずだよ」
「でも・・・それって、磁石が合ってたらの話じゃないの?」
「いや、太陽の位置からすれば、やはりここで間違いないと思う」
 空を仰ぐ008が眩しそうに目を細めた。
「間違い無いって言っても、敵さんの基地らしきもの、ゼーンゼン、無いアルネ」
「なぁに、この007さまに恐れをなして、とうの昔に逃げたのだろうさ」
 軽く2,3度咳払いをし、気取った口調で話す007に、容赦のないツッコミが入る。
「それだけは、天地がひっくり返っても無いアル」
「ふざけたこといいやがって!おーし、じゃあ、天地をひっくり返してみろっ!」
「何言ってるア――」
「静かに!」
 会話をさえぎる003の厳しい声、緊張が走る。
「地下の奥深くで振動が……5km……ううん、10km……お、大きい、とてつもなく大きな振動よ。きっとじしん……キャアッ」
 彼女の言葉が終わらないうちに、大地が激しく揺れ始めた。真下から突き上げるうねりに、全員が地面に叩きつけられる。
「大丈夫か!!」
 声を張り上げる004も成す術も無く横たわるだけだった。




 ようやく揺れが収まり、ひとり、またひとりと、のろのろ立ち上げる。
「大地の怒りではない、これは奴らの仕業」
「ってことは、奴ら俺達を狙ったってことか?」
「いや、そうでもないらしい」
 004が遥か前方をあごでしゃくった。
「「「あ、あれは!」」」
 彼らの目前には、隆起した岩壁が立ちはだかっていた。
「さっきまではこんなもの無かった…。きっと今の地震で隆起してきたんだろうな。もしかしたら……これが敵の本拠かもしれない」
「間違いないと思うわ」
 008の推測を003が肯定する。
「どうしてそう思う?」
「見えないのよ・・・・あの岩壁の向こうが」
 彼女の言葉に004の口元がゆがむ。
「怪しいな」
「行って見るか?」
「さて、どこからお邪魔させていただきますかね」
 隆起してきた岩山は途方も無く巨大で、ブラックゴーストの基地があったとしてもほんの一部に過ぎないだろう。 攻め込む先を間違えれば悪戯に体力だけを消耗する。
「あそこに・・・洞窟らしきものが」
 009の指差した方向には、ぽっかりと開いた不気味な入り口。
「成程、ご招待を受けたからには正面玄関からお邪魔しないと失礼に当たりますかな」
 不敵に笑う007に全員が深く頷いた。




 洞窟に入った瞬間、ひんやりとした空気に包まれる。 静けさに支配された空間に、規則正しい水滴の音がどこまでも響く。 暑さに苦しめられていた彼らは思わず安堵のため息を漏らした。
「しばらくここで休みたいくらいに快適だな」
 低めの岩に腰を下ろした007を003が咎める。
「ここは敵地の中、気の緩みが命取りになるのよ」
「ヘイヘイ、ワカリやした」
 名残惜しそうに背後の岩を振り返りながら007も列の最後尾について歩き出した。と、そのとき



カラン・・・


「崩れる、逃げろ!」




005の叫び声に、全員が反応良く飛び退く。とその瞬間、






 
 どどどどどどっ
  どどどどどどっ
  どどどどどどっ







 005の叫びをかき消し、洞窟の天井が崩れる。とっさに逃げて全員無事だったものの、 彼らが放心状態から解放されるまで一瞬の間を要した。

「奴らの先制攻撃か」
「油断ならねぇな、くそっ」
「でも、これでこの先が敵の本拠ってはっきりしたんじゃない?」
「009の言う通りだ、なんでもない場所にこれほど手の込んだの仕掛けをつくるはずはないさ」
 トラップの仕組みを見つけたのか、天井付近を見つめならが008が応えた。
「006、頼む」
「ハイヨー、ワテの出番アルネ」
 得意気に鼻を鳴らし、崩れた石の前で006が大きく息を吸った。 口からは発せられた強力な炎が強固な壁を作っていた岩をみるみる溶かしていく。
「チョロイもんアル」
 一行は再び奥へと歩き始めた。




「しかしさっきのトラップ・・・・・」
 しばらく何をか思案していた008の言葉に全員が振り向いた。
「何か気がかりなことでも?」
「うん ―――― ……










石だけにスットーンと落ちてきたね、いや、まいったよ、まったく」











外の暑さが恋しくなるほどの冷気が、仲間の間を音も無く通り過ぎていった。




「おい、ジョー」
「004? どうしたの」
 死神のひどくイライラした口調に、009は苦笑気味で応じた。
「奴を止めてくれ」
「奴って?」
「ピュンマに決まってるだろう。こんなところで、あんなこと言いやがって」
「そう・・・・・・・・?」
「いいから奴の口を封じて来いっ!」
 戸惑い気味の009に004のイライラはさらにその度合いを増す。 この調子では敵を突き止める前に、仲間の誰かがが犠牲になってしまいそうで、 009は004の指示を不承不承で頷いた。


「ね・・・008」
「どうしたんだい?」
「あのね・・・004がすごく怒ってるんだよ、もうやめろって」
「そうか、残念だなあ。こんなときだからこそ、皆に和んでもらえればって思ったんだけどね」
 008は少し照れくさそうに笑みを浮かべ、人差し指で頭を掻いた。 その素直な姿に009は遠慮気味に口を開いた。
「あのね・・・ボク思ったんだけど・・・」
「なんだい?」


「さっきのトラップだけど・・・・あの時は石がたくさん落ちてきたでしょう? だからさ、『すとーん』じゃなくて、『どどどどどっ』とか『ずどどど』って 言ったほうが良かったんじゃない?  そしたら、004もあんなに怒らなかったのかもしれないし」




 にこやかに笑う009に008の表情がみるみる曇る。




「・・・・・・・ ていうか009、さっきのオチ、ちゃんとわかってくれたのかい?」











「オチ?・・・・・・・・・・・・・・一体何のこと?」



















(fin)





あとがき

すみません、すみません、すみません・・・・久々のブツがこんなものだなんて

前作のオヤジギャグピュンマは、それでもどこかにきらりと知性が光っていたようにおもうのですが(<何処?) 今回のピュンマはただの迷惑な鬱陶しい奴に成り下がりました(涙)

ま、その上を行く人が居たわけですけどね、ジョーファンのみなさますみません、いつもいつも天然で



さて、どうでもいい作品解説

お話に登場した「メイワン・シティー」はもちろん架空の 都市です。名前なんてどうでも良かったので半ば投げやりに、近くにあったダンボールの 文字「岩手名産(イワテメイサン)の言葉を入れ替えて、「メイワンサテイ」。さすがに 某大型スーパーマーケットの名前に似てしまってはまずいと、「サ」を「シ」に変更。 かくしてブラックゴーストの拠点、メイワンしティーが誕生したのです。
(05年6月11日 初出)
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